Pyrolaser®・Pyrofiber®・Optitherm® III
■パイロ社製品に使用されている放射率測定技術
赤外線に依る温度計測技術は、産業界で多年に渡り利用されて来ましたが、測定物体の放射率が分からなければ正確な温度が計測できないと言う赤外線そのものが持つ問題点に基づく制約がありました。赤外線温度計は、測定物から受け取った放射を測定します。これが一つの変数です。しかし、放射と測定温度の間の関係を規定するプランクの放射原理を利用しようとすると、第二の変数である測定対象物表面の放射率に関する知識が必要になります。解決策として、オペレータの経験に基づいて見積もられた放射率を利用したり、二つ以上の波長を利用した温度計で測る等の方法が採られて来ました。しかし、多くの用途では、オペレータの経験や多波長を利用した計測技術は有効ではありませんでした。放射率は、表面状態、温度、波長、時間に依って変化するためです。測定対象物の放射率が分からない限り物体の真温度は測定できません。
・ePyrocal(放射率の影響を実感していただくための放射率計算機です。当該ページ左下のパネルをクリックしてください。)
http://www.pyrometer.com/Tech/emissivity.html
Pyrolaser®、Pyrofiber®、Optitherm® IIIは、特許を取得したレーザ技術を使用し、放射率の補正を行った、測定対象物の真温度(Te)を測定します。これらの温度計は、温度放射測定と同一スポット内、同一温度、同一波長で自動的に放射率を計測する事に依り、測定対象の正確な温度を測定します。
Pyrolaser®、Pyrofiber®、Optitherm® IIIは、従来のパッシブ型赤外線温度計と、対象物の放射率を測定するアクティブ型リフレクトメータ、両方の機能を持っています。ガリウム砒素レーザの信号は低電力のパルスに変換され、専用の光学系(レーザチャンネル)を介して測定対象領域に照射されます。二次光学系(ラディアンスチャンネル)を通って戻って来たレーザー光と赤外光を検出。交流のレーザー信号を直流のターゲット信号の上に重畳します。レーザーの出力エネルギーをモニターし、測定対象物までの距離等の配置情報を知る事により、測定対象領域の反射率(放射率)を決定します。測定対象から受け取られる放射の波長帯域は、通常は865nm、905nm、1550nmと言ったレーザー波長を中心とした狭い帯域(10-50nm)に制限されています。
■放射率の測定
放射率は、モニターされているパルス化されたレーザーエネルギー(Lo)を測定対象に照射し、反射レーザーエネルギー(L)を測定する事で計算されます。レーザーエネルギーは測定対象を(透明な物体のように)通過する事なく、照射されたエネルギー(Lo)は全て吸収されるか反射されるものと見なします。吸収エネルギー(La)は照射されたエネルギーと反射したエネルギーから求められます。
La = Lo – L
測定対象の吸収率(a)と反射率(r)は下記の式の値を標準化したものです。
a = La/Lo = 1 – Lr/Lo = 1 – r
吸収率と反射率は別な角度から測定した同一の量であるため、対象物の吸収率が分かれば放射率は直ちに分かります。OPTITHERM® III の光学センサーヘッドは、反射エネルギーを100%捉えます。
e = a = 1 – r
株式会社テレマックス
■温度の測定
温度は、レーザーで放射率を測定した時と同じ狭帯域(50nm)の波長の放射を収集する事によって測定されます。第一のステップとして、測定された放射(Qm)は測定された放射率(e)を用いて、黒体輻射
(Qb)に対して補正されます。
Qb = Qm / e
この黒体輻射を用いて、OPTITHERM® III は、プランクの放射原理に基づき、対象物の真の温度(T)を求めます。
h * c
T = C0 / 1n(C1/Qb + 1) ここで C0 = ______
1 * k
また C1 は光学系と電気回路の有効率に依存する校正定数
H = プランク定数 = 6.625*10E-34 Wss
C = 光の速さ = 2.998*10E+8 m/s
K = ボルツマンの定数 = 1.380*10E-23 Ws/K
1 = OPTITHERM® III の波長 = 1.550*10E-9 m
放射が存在する場合、測定された反射率(r)によって外部からの放射(Qx)を取り除くことで、黒体輻射
(Qb)が導かれます。
Qb = (Qm-r*Qx) / (1-r)
放射が補正され黒体輻射が求められれば、全ての温度の計算には上記の計算式が用いられます。

